コミュニケーション欠如リスク RL-010

1.対象の概要(入門知識)

組織や個人間において、必要な情報が適切に伝達・共有されない、または誤って解釈されることで生じるリスク。意思疎通の不足は、判断ミス・生産性低下・信頼関係の悪化を引き起こし、最終的には大きな損失に繋がる可能性がある。

1-1. 主な分類

リスク・ロス内容
意思疎通ミス(RL-080情報が届かない/一部にしか伝わらない
情報共有の不全 RL-081報告・連絡・相談が機能しない
報連相の欠如 RL-082小さな誤解が蓄積して重大化
非言語コミュニケーションの誤認 RL-083表情や沈黙の解釈違い
フィードバック不足 RL-084評価や指摘の不足による成長阻害
過信・思い込みによる伝達省略 RL-085「言わなくても分かる」という誤信
多忙・時間不足による会話の劣化 RL-086雑な伝達で誤解発生
立場・役割の誤解 RL-087責任の曖昧化やタスクの重複
翻訳・通訳の質のばらつき RL-088国際業務での誤解リスク
感情的コミュニケーション RL-089冷静さを欠く対話による衝突

1-2. 概要図

イメージ中心に「コミュニケーション欠如リスク」
→ 周囲に10分類(意思疎通ミス/報連相欠如/フィードバック不足など)を放射状に配置
→ 外円には「業務停滞」「人間関係悪化」「損失発生」の結果を示す

2.ケーススタディ

Case2508-***

製造業のA社では、新製品の仕様変更が上層部で決定されたが、現場への伝達が遅れた。
営業部は旧仕様の説明資料を顧客に提示し、製造部は新仕様に基づいて試作品を作成。
結果として、顧客の期待と納品物が大きく食い違い、信頼を失う事態となった。
「伝えたつもり」「聞いていたはず」という思い込みが積み重なり、数千万円規模の損失につながった。

3.主なプロセス(流れ)

情報の発信者が曖昧な表現や省略をする

受け手が誤解・過信する

情報が一部の人だけに留まり全体に共有されない

タスク・役割の混乱や誤判断が発生

問題発覚時には既に重大なトラブルに拡大

4.トラブルや被害

4-1.トラブルや被害(一次被害)

作業手順の誤り

顧客への誤情報伝達

会議・プロジェクトの進行遅延

4-2.トラブルや被害(二次被害)

顧客からのクレーム・契約解除

部署間・人間関係の悪化

信頼低下による離職・モチベーション低下

経営的損失(売上減・追加コスト発生)

5.要因(なぜ起きるのか?)

心理的要因:言わなくても理解しているはず、伝えにくい雰囲気

組織的要因:情報共有の仕組み不足、属人化した報告フロー

環境的要因:多忙・時間不足による雑なコミュニケーション

文化的要因:非言語的表現や上下関係に依存した伝達

技術的要因:翻訳ツールの誤訳やシステムの通知漏れ