業務・オペレーションリスク RL-003

1.対象の概要(入門知識)

業務・オペレーションリスクとは、組織の日常業務における手続き・作業・管理の不備や人的ミス、不正、外部委託の失敗などにより発生するリスクを指します。
自然災害や市場変動のような外的リスクとは異なり、組織内部のオペレーションに根ざしたリスクであり、頻度が高く見落とされやすいのが特徴です。

1-1.主な分類

リスク・ロス内容
手続き・作業ミス RL-026確認不足、手順誤り
人的ミス・内部不正 RL-027不注意、スキル不足、悪意ある不正
外注・委託管理不備 RL-028品質・納期トラブル、法令違反
過重労働・働き方 RL-029生産性低下、離職、健康リスク
業務フロー・マニュアル不備 RL-030不明確・非効率な手順
サプライチェーン混乱 RL-031物流・調達の途絶、納期遅延
設備・システム障害 RL-032ITトラブル、機械故障による停止
品質不良・クレーム RL-033顧客信頼の失墜
在庫管理不備 RL-034過剰在庫・在庫不足・棚卸不良
多拠点・海外拠点の難しさ RL-035文化・法令の違い、情報共有不足

1-2.概要図

中央:業務・オペレーションリスク
├ 手続き・作業ミス
├ 人的ミス・内部不正
├ 外注・委託管理不備
├ 過重労働・働き方
├ 業務フロー不備
├ サプライチェーン混乱
├ 設備・システム障害
├ 品質不良・クレーム
├ 在庫管理不備
└ 多拠点・海外拠点管理

2.ケーススタディ

Case2508-***

ある小売チェーンでは、新商品の需要を見誤り、本部システムに誤った在庫数を登録してしまいました。
その結果、店舗は商品がないのに「在庫あり」と表示され、ネット注文が殺到。
出荷現場は混乱し、顧客からの「商品が届かない」というクレームが相次ぎました。

さらに在庫不足を補おうとした結果、過剰発注が発生。倉庫には売れ残った商品が山積みとなり、結果的に多額のコスト損失と顧客信頼の低下を招きました。

3.主なプロセス(流れ)

平常時(通常業務)
→ 手順・管理の不備、ミス、過重労働
→ 誤入力・不正・システム障害・外注トラブル
→ 業務の停滞・品質不良・顧客対応不備
→ 信頼低下・コスト増・経営悪化

4.トラブルや被害

4-1.トラブルや被害(一次被害)

トラブル内容
業務の停滞作業遅延、サービス提供の遅れ
品質不良不良品やサービス不備による顧客クレーム
システム停止生産・物流・販売が止まる
在庫管理の誤りコスト増、機会損失

4-2.トラブルや被害(二次被害)

トラブル内容
顧客の信頼喪失契約解除、顧客離れ
経済的損失過剰在庫・返品対応・補償費用
従業員の離職・疲弊過重労働による士気低下、退職増加
ブランド価値の低下市場での競争力喪失

5.要因(なぜ起きるのか?)

要因ツリー図イメージ
業務・オペレーションリスク
├ 人的要因
│ ├ ケアレスミス
│ ├ スキル不足
│ └ 内部不正
├ 管理要因
│ ├ マニュアル不備
│ ├ 外注・委託管理不足
│ └ 在庫・品質管理の甘さ
├ 環境要因
│ ├ 過重労働・人員不足
│ ├ 多拠点・海外拠点の統制難
│ └ サプライチェーンの混乱
└ 技術要因
├ 設備故障
└ システム障害