1.対象の概要(入門知識)
システム関連リスクとは、情報システムの障害・脆弱性・設定不備・老朽化・運用管理の欠如などにより、業務停止や情報漏洩、サービス品質低下が発生するリスクを指す。現代の企業活動においてシステムは不可欠であり、不具合は即座に経営・社会的信用に直結する。
1-1.主な分類
| リスク・ロス | 内容 |
| バックアップ不備 RL-131 | 復旧不可・データ損失につながる。 |
| システム障害による業務停止 RL-140 | 機器故障や不具合でサービス停止。 |
| バージョン管理不備 RL-141 | 旧バージョン放置で脆弱性・互換性問題。 |
| 設定ミスや誤操作 RL-142 | パラメータ変更や操作ミスによる停止・低下。 |
| パッチ未適用の脆弱性 RL-143 | 既知脆弱性を攻撃者に悪用される。 |
| ハードウェア老朽化 RL-144 | 寿命超過による突発故障。 |
| ログ管理不備 RL-146 | 原因不明で復旧遅延・再発防止困難。 |
| システム統合・移行トラブル RL-14 | データ整合性不良や移行失敗。 |
| 自動化制御ミス RL-148 | 自動処理の誤作動で広範囲に影響。 |
| クラウド依存リスク RL-149 | 外部クラウド障害や仕様変更で業務停止。 |
1-2. 概要図
中央に「システム関連リスク」
周囲に10分類を配置
外周に「業務停止」「データ損失」「情報漏洩」「信用失墜」への影響を矢印で接続
2.ケーススタディ
Case2508-***
金融機関D社では、基幹システムのハードウェアが老朽化していたが、更新が後回しにされていた。ある日、サーバーが突発的に故障し、ATMが全国的に利用できなくなった。
顧客は現金を引き出せず混乱が発生し、店舗には長蛇の列。さらにバックアップも古い状態で整合性が取れず、復旧までに数日を要した。
その間にSNSで「信用できない銀行」と批判が拡散し、株価も下落。事後対応として機器更新とシステム統合が急がれたが、多額のコストと長期の信頼回復期間が必要となった。
3.主なプロセス(流れ)
潜在的問題(老朽化・未更新・パッチ未適用)
トラブル発生(障害・誤操作・クラウド障害)
復旧困難(バックアップ不備・ログ不足)
業務停止/情報流出
信用失墜/追加コスト発生
4.トラブルや被害
4-1.トラブルや被害(一次被害)
システム停止・業務中断
データ破損・消失
サービス提供不可
4-2.トラブルや被害(二次被害)
顧客の信頼喪失・解約
契約違反による損害賠償
行政処分や罰則
報道・SNS拡散によるレピュテーション低下
多額の更新・復旧コスト
5.要因(なぜ起きるのか?)
技術的要因:老朽化、パッチ未適用、冗長性不足
人的要因:設定誤り、バージョン管理・操作ミス
運用要因:監視不足、バックアップ未検証、移行テスト不足
組織要因:予算不足、改善後回し、属人化
外部要因:クラウド依存、外部サービス障害
