システム関連リスク RL-017

1.対象の概要(入門知識)

システム関連リスクとは、情報システムの障害・脆弱性・設定不備・老朽化・運用管理の欠如などにより、業務停止や情報漏洩、サービス品質低下が発生するリスクを指す。現代の企業活動においてシステムは不可欠であり、不具合は即座に経営・社会的信用に直結する。

1-1.主な分類

リスク・ロス内容
バックアップ不備 RL-131復旧不可・データ損失につながる。
システム障害による業務停止 RL-140機器故障や不具合でサービス停止。
バージョン管理不備 RL-141旧バージョン放置で脆弱性・互換性問題。
設定ミスや誤操作 RL-142パラメータ変更や操作ミスによる停止・低下。
パッチ未適用の脆弱性 RL-143既知脆弱性を攻撃者に悪用される。
ハードウェア老朽化 RL-144寿命超過による突発故障。
ログ管理不備 RL-146原因不明で復旧遅延・再発防止困難。
システム統合・移行トラブル RL-14データ整合性不良や移行失敗。
自動化制御ミス RL-148自動処理の誤作動で広範囲に影響。
クラウド依存リスク RL-149外部クラウド障害や仕様変更で業務停止。

1-2. 概要図

中央に「システム関連リスク」

周囲に10分類を配置

外周に「業務停止」「データ損失」「情報漏洩」「信用失墜」への影響を矢印で接続

2.ケーススタディ

Case2508-***

金融機関D社では、基幹システムのハードウェアが老朽化していたが、更新が後回しにされていた。ある日、サーバーが突発的に故障し、ATMが全国的に利用できなくなった。
顧客は現金を引き出せず混乱が発生し、店舗には長蛇の列。さらにバックアップも古い状態で整合性が取れず、復旧までに数日を要した。
その間にSNSで「信用できない銀行」と批判が拡散し、株価も下落。事後対応として機器更新とシステム統合が急がれたが、多額のコストと長期の信頼回復期間が必要となった。

3.主なプロセス(流れ)

潜在的問題(老朽化・未更新・パッチ未適用)

トラブル発生(障害・誤操作・クラウド障害)

復旧困難(バックアップ不備・ログ不足)

業務停止/情報流出

信用失墜/追加コスト発生

4.トラブルや被害

4-1.トラブルや被害(一次被害)

システム停止・業務中断

データ破損・消失

サービス提供不可

4-2.トラブルや被害(二次被害)

顧客の信頼喪失・解約

契約違反による損害賠償

行政処分や罰則

報道・SNS拡散によるレピュテーション低下

多額の更新・復旧コスト

5.要因(なぜ起きるのか?)

技術的要因:老朽化、パッチ未適用、冗長性不足

人的要因:設定誤り、バージョン管理・操作ミス

運用要因:監視不足、バックアップ未検証、移行テスト不足

組織要因:予算不足、改善後回し、属人化

外部要因:クラウド依存、外部サービス障害