1.対象の概要(入門知識)
法的・コンプライアンスリスクとは、企業が法律・規制・契約・社内規程などを遵守しなかった場合に発生するリスクを指す。罰金や行政処分といった直接的損害だけでなく、社会的信用の失墜や業務停止といった深刻な影響をもたらす。
1-1.主な分類
| リスク・ロス | 内容 |
| 法令違反 RL-044 | 労働法・個人情報保護法・独占禁止法などの違反 |
| 契約違反・未履行 RL-045 | 契約条項不履行や履行遅延 |
| 知的財産侵害 RL-046 | 特許・商標・著作権侵害 |
| 倫理・規範逸脱 RL-047 | 不正会計・利益相反・過剰接待など |
| 社内規程違反 RL-048 | 就業規則やコンプライアンス規程の逸脱 |
| 海外規制対応不備 RL-049 | GDPR、輸出入規制、現地法対応不足 |
| 内部通報・告発対応不備 RL-050 | 内部告発への不適切対応 |
| 反社会的勢力との関与 RL-051 | 暴力団・フロント企業との関与 |
1-2.概要図
法的・コンプライアンスリスク
├─ 法令違反
├─ 契約違反
├─ 知財侵害
├─ 倫理・規範逸脱
├─ 社内規程違反
├─ 海外規制対応不備
├─ 内部通報対応不備
└─ 反社会的勢力関与
2.ケーススタディ
Case2508-***
ある中堅メーカーは、新製品を海外に輸出する際、現地の輸入規制を十分に確認せず出荷を開始した。
結果、現地当局から輸入差し止めと罰金を科され、数億円規模の損失が発生。ニュースでも大きく取り上げられ、企業イメージは大きく失墜した。
さらに内部調査の結果、社内マニュアルが古いまま放置され、現地法改正に対応していなかったことが判明。経営陣はガバナンス不足を指摘され、株価下落にもつながった。
3.主なプロセス(流れ)
法令・規制・契約に基づく義務発生
社内での管理・運用(規程・手続き)
遵守不備・違反の発生
行政処分・訴訟・社会的非難
金銭的損害・信用失墜・業務停止
4.トラブルや被害
4-1.トラブルや被害(一次被害)
行政処分、罰金、課徴金
契約解除や損害賠償請求
特許訴訟や販売差し止め
内部処分(懲戒・降格・解雇)
4-2.トラブルや被害(二次被害)
企業イメージの悪化、ブランド価値毀損
株価下落や投資家からの不信
取引先からの契約解除・新規契約減少
優秀人材の流出、採用難
5.要因(なぜ起きるのか?)
法令・規制への理解不足、改正情報の未把握
契約書・規程類の確認不足、属人的対応
ガバナンス・内部統制の不備
内部監査やチェック体制の弱さ
海外展開時の現地法規制への対応不足
倫理観・コンプライアンス意識の低下
内部告発制度が形骸化し、早期発見が困難
