環境・災害リスク RL-006

1.対象の概要(入門知識)

環境・災害リスクとは、自然現象・気候変動・人間活動に伴う環境破壊・感染症流行などによって、人命・健康・社会基盤・企業活動に深刻な影響を与えるリスクを指す。これらは突発的に発生する場合もあれば、長期的に進行して事業継続を脅かす場合もある。

1-1.主な分類

リスク・ロス内容
自然災害リスク RL-052地震・台風・洪水・津波・火山噴火など
気候変動リスク RL-053温暖化・異常気象・農作物不作
環境汚染リスク RL-054大気・水質・土壌汚染
資源枯渇リスク RL-055化石燃料・水・レアメタルの枯渇
公害リスク RL-056排煙・悪臭・騒音・振動など
生態系破壊リスク RL-057森林伐採・乱開発・生物多様性喪失
廃棄物管理リスク RL-058有害物質・産廃処理不備
環境法規制リスク RL-059新たな環境法規制への対応負担
感染症・パンデミックリスク RL-060新型ウイルス流行による被害
地域インフラ脆弱性リスク RL-061電力・水道・交通などの停止

1-2.概要図

中央に「環境・災害リスク(RL-006)」

周囲に10分類のリスクを放射状に配置

背景に「自然要因」と「人為的要因」の2つの大きな円

2.ケーススタディ

Case2508-***見出し

ある製造業A社は沿岸部に大規模工場を構えていた。
ある年の秋、大型台風の直撃により工場は浸水。生産ラインは停止し、在庫や原材料が流出した。復旧までに3か月を要し、その間に主要顧客の発注は他社へ流れた。さらに、工場跡地から流れ出た化学薬品が周辺河川を汚染し、行政から罰金と改善命令を受けることになった。

この事例では、「自然災害リスク」と「環境汚染リスク」が連鎖し、事業継続と信用に甚大な影響を及ぼしている。

3.主なプロセス(流れ)

発生契機:地震・台風・感染症流行・温暖化の進行

    直接的影響:建物倒壊・設備損壊・人的被害

    二次的影響:サプライチェーン寸断・物流停止・顧客離脱

    三次的影響:環境汚染訴訟・規制強化・社会的信用失墜

    長期影響:事業撤退・地域経済への影響

    4.トラブルや被害

    4-1.トラブルや被害(一次被害)

    従業員の死亡・怪我

      工場やオフィスの損壊

      停電・断水・交通網の麻痺

      原材料の不足や輸送遅延

      4-2.トラブルや被害(二次被害)

      顧客からの契約解除・賠償請求

      廃棄物や化学物質の流出による環境被害

      感染症流行による事業停止

      メディア報道による企業イメージ失墜

      国や自治体からの罰則・行政指導

      5.要因(なぜ起きるのか?)

      地理的要因:地震多発地域・洪水リスク地域に立地している

        気候変動要因:温暖化に伴う台風大型化・豪雨頻発

        設備・施設要因:老朽化した建物や防災対策の不足

        管理要因:廃棄物処理・化学物質管理の不備

        社会要因:グローバルサプライチェーン依存、感染症の国際的拡大

        規制要因:環境基準の強化や国際規制への未対応