1.対象の概要(入門知識)
売上・利益減少リスクとは、市場環境・競合状況・コスト構造・企業内部要因などの変化によって、企業の売上高や利益が継続的または急激に減少するリスクを指す。
事業の存続・成長に直結するため、経営にとって最重要リスクのひとつである。
1-1.主な分類
| リスク・ロス | 内容 |
| 顧客離れによる売上減少 RL-176 | ロイヤル顧客の離反による安定収益の喪失。 |
| 市場縮小による売上低下 RL-177 | 人口減少やニーズ変化による市場規模縮小。 |
| 競合によるシェア奪取 RL-178 | 競合の新商品や低価格戦略による顧客喪失。 |
| 原価高騰による利益圧迫 RL-179 | 原材料費や物流費の上昇による利益率低下。 |
| 為替変動による収益悪化 RL-180 | 輸出入取引におけるレート変動による収益減。 |
| 商品力・サービス力低下 RL-181 | ニーズ不一致や陳腐化による競争力低下。 |
| 季節要因・天候不順 RL-182 | 猛暑・冷夏・台風等による販売不振。 |
| 顧客単価の低下 RL-183 | 価格競争や消費行動変化による単価下落。 |
| サプライチェーン寸断 RL-184 | 部材不足・物流混乱による販売機会損失。 |
| ブランド毀損 RL-185 | 不祥事・品質問題による信頼低下と顧客離れ。 |
1-2. 概要図
中央に「売上・利益減少リスク」
周囲に10分類を配置(顧客/市場/競合/コスト/為替/商品力/季節/単価/サプライチェーン/ブランド)
外周に「収益悪化」「経営悪化」「倒産リスク」を接続
2.ケーススタディ
Case2508-***
アパレル業G社は、長年主力商品であるスーツを販売してきた。
しかし、テレワークの普及とカジュアル化の流れでスーツ需要が急減。
同時に、競合企業が低価格かつデザイン性の高い商品を展開し、顧客は徐々に離れていった。
さらに原材料費が高騰し、販売価格は据え置きでも利益率が悪化。売上は前年比30%減少、利益はほぼゼロに近づいた。
その結果、G社は新規事業への投資余力を失い、経営再建のためリストラや店舗閉鎖を余儀なくされた。
3.主なプロセス(流れ)
外部環境変化(市場縮小・競合台頭・為替変動)
内部要因発生(商品力低下・ブランド毀損・コスト増)
売上減少(顧客離れ・単価低下)
利益圧迫(コスト増加・収益構造悪化)
経営危機(資金繰り悪化・事業縮小・倒産リスク)
4.トラブルや被害
4-1.トラブルや被害(一次被害)
売上減少・利益率悪化
顧客離れ・シェア喪失
商品在庫の滞留
4-2.トラブルや被害(二次被害)
新規投資の停滞
リストラ・店舗縮小
株価下落・資金調達難
長期的ブランド価値低下
競合に市場を奪われ撤退
5.要因(なぜ起きるのか?)
市場要因:人口減少、消費行動の変化、需要縮小
競合要因:価格競争、新商品・新サービス投入
コスト要因:原材料・物流・人件費の高騰
金融要因:為替変動、金利上昇
内部要因:商品・サービスの陳腐化、品質問題
ブランド要因:不祥事・不適切対応による信頼喪失
外部要因:自然災害・パンデミックによる販売機会損失
