1.対象の概要(入門知識)
業務・オペレーションリスクとは、組織の日常業務における手続き・作業・管理の不備や人的ミス、不正、外部委託の失敗などにより発生するリスクを指します。
自然災害や市場変動のような外的リスクとは異なり、組織内部のオペレーションに根ざしたリスクであり、頻度が高く見落とされやすいのが特徴です。
1-1.主な分類
| リスク・ロス | 内容 |
| 手続き・作業ミス RL-026 | 確認不足、手順誤り |
| 人的ミス・内部不正 RL-027 | 不注意、スキル不足、悪意ある不正 |
| 外注・委託管理不備 RL-028 | 品質・納期トラブル、法令違反 |
| 過重労働・働き方 RL-029 | 生産性低下、離職、健康リスク |
| 業務フロー・マニュアル不備 RL-030 | 不明確・非効率な手順 |
| サプライチェーン混乱 RL-031 | 物流・調達の途絶、納期遅延 |
| 設備・システム障害 RL-032 | ITトラブル、機械故障による停止 |
| 品質不良・クレーム RL-033 | 顧客信頼の失墜 |
| 在庫管理不備 RL-034 | 過剰在庫・在庫不足・棚卸不良 |
| 多拠点・海外拠点の難しさ RL-035 | 文化・法令の違い、情報共有不足 |
1-2.概要図
中央:業務・オペレーションリスク
├ 手続き・作業ミス
├ 人的ミス・内部不正
├ 外注・委託管理不備
├ 過重労働・働き方
├ 業務フロー不備
├ サプライチェーン混乱
├ 設備・システム障害
├ 品質不良・クレーム
├ 在庫管理不備
└ 多拠点・海外拠点管理
2.ケーススタディ
Case2508-***
ある小売チェーンでは、新商品の需要を見誤り、本部システムに誤った在庫数を登録してしまいました。
その結果、店舗は商品がないのに「在庫あり」と表示され、ネット注文が殺到。
出荷現場は混乱し、顧客からの「商品が届かない」というクレームが相次ぎました。
さらに在庫不足を補おうとした結果、過剰発注が発生。倉庫には売れ残った商品が山積みとなり、結果的に多額のコスト損失と顧客信頼の低下を招きました。
3.主なプロセス(流れ)
平常時(通常業務)
→ 手順・管理の不備、ミス、過重労働
→ 誤入力・不正・システム障害・外注トラブル
→ 業務の停滞・品質不良・顧客対応不備
→ 信頼低下・コスト増・経営悪化
4.トラブルや被害
4-1.トラブルや被害(一次被害)
| トラブル | 内容 |
| 業務の停滞 | 作業遅延、サービス提供の遅れ |
| 品質不良 | 不良品やサービス不備による顧客クレーム |
| システム停止 | 生産・物流・販売が止まる |
| 在庫管理の誤り | コスト増、機会損失 |
4-2.トラブルや被害(二次被害)
| トラブル | 内容 |
| 顧客の信頼喪失 | 契約解除、顧客離れ |
| 経済的損失 | 過剰在庫・返品対応・補償費用 |
| 従業員の離職・疲弊 | 過重労働による士気低下、退職増加 |
| ブランド価値の低下 | 市場での競争力喪失 |
5.要因(なぜ起きるのか?)
要因ツリー図イメージ
業務・オペレーションリスク
├ 人的要因
│ ├ ケアレスミス
│ ├ スキル不足
│ └ 内部不正
├ 管理要因
│ ├ マニュアル不備
│ ├ 外注・委託管理不足
│ └ 在庫・品質管理の甘さ
├ 環境要因
│ ├ 過重労働・人員不足
│ ├ 多拠点・海外拠点の統制難
│ └ サプライチェーンの混乱
└ 技術要因
├ 設備故障
└ システム障害
